2年前から日本でも導入されたシルガード9(9価ヒトパピローマウイルスワクチン)が、令和5年4月1日から定期予防接種として接種可能になります。
今回、ワクチンの接種回数に大幅な変更があるため、ここでご説明いたします。
◇これからワクチン接種を開始する定期予防接種対象者(小学6年生から高校1年生の女子)
15歳未満で開始する場合
・原則2回接種 (文末で説明いたします)
・初回接種後、約半年の期間を置いて2回目を接種する。
15歳以上で開始する場合
・3回接種
・接種間隔についてはガーダシルと同じ(0,2,4カ月が標準)
◇これからワクチン接種を開始するキャッチアップ対象者(平成9年生まれ〜高校2年生の女子)
3回接種(接種間隔はガーダシルと同じ。)
◇すでに従来のワクチンで接種開始している方(定期、キャッチアップ対象者共通)
3回接種未満の方
残りの接種をシルガード9に変更が可能(残りの接種間隔はガーダシルと同じ)
※ただし、2回目をシルガード9に変更したら、3回目もシルガード9しか接種出来ません。
3回接種済んでいる方
追加接種は不要
15歳未満の方については、希望があれば3回接種が可能です。その際はガーダシルの接種間隔に準じて行われます。
ここで多くの皆様に疑問が生じると思います。
何故、2回接種で十分なのか?
海外では以前から、接種間隔および接種回数について様々な臨床試験が行われており、その結果、接種間隔を延長した3回接種でも十分な効果が得られる事が証明され、更には2回接種でも、十分な抗体価が得られる事が証明されております。よって、半年の間隔で2回接種する、というのが海外のスタンダードなのです。しかしながら、その臨床試験の対象者は9歳~14歳の若い世代のみのため、15歳以上の対象者は従来の3回接種が推奨されています。
”じゃあ、今まで全員に3回接種していたのは何だったの?”と思われる方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、過去の知見を元に、最善を求めて方法が変わっていくことは世の常であり、悪い事ではありません。致し方のない事かと個人的には思います。ただ、海外と比較して切り替えが極端に遅いのは、”ワクチン後進国” と揶揄される所以でしょうか。安全性を重視し、物事の変化に対して常に慎重な姿勢をとるのが、日本の体質ではあります。
以下が参考になります。
各国の子宮頸がんワクチンに対する取り組みの比較です。
海外のHPVワクチンエビデンス | 解説コラム | MSD Connect
シルガード9副反応についてガーダシルとの比較
局所反応はややシルガード9の方が強いようです。(接種部位の発赤疼痛等)
◇シルガード9 001039814.pdf (mhlw.go.jp)
◇ガーダシル 0000035607.pdf (mhlw.go.jp)
接種間隔および接種回数に関する変遷
ACIP Meeting Minutes June 2014 (cdc.gov) (P77が関連内容です。)
ちなみに最近の報告では、一回接種も推奨されているようですが、日本でそれが推奨されるのは、だいぶ先の話かもしれません。
WHO updates recommendations on HPV vaccination schedule